エンジニアの未来-セントラルエンジニアリング

◆会社の大小で「やりがい」は判断できない!中小企業ならではの働き方を考える

作成者: N. Mochizuki|Feb 28, 2017 3:00:00 PM

2015年、『下町ロケット』というドラマが大ヒットしました。皆さんご覧になりましたか。主人公である町工場の社長とその社員たちの奮闘ぶりを描いたドラマですが、この作品を見てものづくりという仕事の素晴らしさを実感した方も多かったのではないでしょうか。かく言う私も、このドラマを見て何度も涙した視聴者のひとりです。

 

 

「佃製作所」に見る中小企業の魅力

 

では、この作品は何故ここまで人々の心を揺さぶったのでしょうか。視聴者はどんなところに感動し共感したのか。もちろん多くの魅力的な要素があったかと思います。が、やはり、小さく弱い立場の主人公たちが大きな組織に敢然と立ち向かい、何度も踏みつけられながらも夢を諦めずに、その大きな壁を越えていくという姿に、視聴者は胸を熱くしたのではないでしょうか。


主人公が経営する「佃製作所」はいわゆる中小企業です。高度な技術力を武器に、社員一人一人が自分たちの仕事に誇りを持ち、時には社長と社員が侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をする様は、中小企業ならではと言えるかもしれません。そして佃製作所に立ちはだかるのが、「帝国重工」。純国産ロケットの開発計画を進める、まさに大企業です。

大企業と中小企業、それぞれ皆さんはどんな印象を持つでしょうか。もしかしたら漠然と「大企業=安心、安泰」というイメージがある方が、少なからずいるかもしれません。会社が大きい分、できる仕事も多いと思っている方もいるのではないでしょうか。はたして本当にそうでしょうか。

 

 

 

 

大企業と中小企業の定義

 

実際に私は、「大手だから」「会社が有名だから」という理由だけで、自分が働く場を選ぼうとする学生を多く見てきました。そのたびに「あぁもったいない!」と思うのです。中小企業には中小企業にしかできない働き方があります。中小企業ならではの魅力があるのです。それを知らずに、たくさんの選択肢を消し去ってしまうのは本当に残念なこと。これから就活を始める方には、この機会にぜひその違いを知ってもらい、自分の前に広がっている可能性の多さに気付いていただけたら嬉しいです。

まずは両者の正しい違いを理解しましょう。大企業と中小企業の区分には、基準となるいくつかの定義があります。資本金や従業員数がその基準となりますが、業界ごとに基準値が異なりますので、興味がある方は調べてみてください。先ほどの佃製作所は製造業なので、「資本金3億円以下または従業員数300名以下」という基準で中小企業と分類されます。この基準を超えていれば大企業に分類されるので、帝国重工はやはり大企業ですね。

 

「やりがい」の感じ方こそ中小企業で働くメリット

 

では具体的に、それぞれに就職することによる違いにはどんなことがあるでしょうか。まず私が皆さんに知っていただきたいのが、中小企業では「やりがい」をより感じやすいという点。佃製作所のくだりで触れたように、中小企業では、時には社長と直接議論を交わすことも珍しくありません。自分の意見が大事なプロジェクトで採用されることだってあるでしょう。つまり「会社に貢献している」ということを、より感じやすいのです。大企業の場合、規模が大きいため業務が細分化されていることが多く、自分が会社の何に貢献しているのかということが、わかりづらかったりします。その点、中小企業では自分の成長とともに会社の成長をダイレクトに感じることができ、モチベーションにも繋がりやすいのです。

 

 

 

 

また、携われる仕事が多いというのも魅力のひとつ。会社が大きければその分仕事も多いし、会社が小さければその分仕事が少ないのでは?と思う方もいるかもしれません。そうではないのです。大手企業は仕事が多い分、それを担う人材も多くいます。しかし中小企業はそうではありません。一つの仕事をやっていればいいなんていうことはなくて、むしろ他の仕事も兼業しなければ会社が回らないかもしれません。当然それは自分のスキルアップに直結します。中小企業だから大企業より仕事が少ないなんてことはなく、逆に会社に伸び代がある分、やれることも多いのです。それを「やることが多くて大変そうだ」ととらえるか、「いろいろできることが多くて楽しそう」ととらえるかはあなたの価値観次第です。

 

 

 

 

会社に何を求める?自分に合った働き方を考える

 

早い段階でさまざまな経験ができるのも中小企業で働くメリットです。中小企業ではやる気次第で多くのことができる可能性がありますが、大企業でなかなかそうはいきません。年功序列という言葉は古いものになりつつも、大きな会社ほどまだまだその傾向は残っています。


 大企業より中小企業の方がいいと言いたいわけではありません。もちろん大企業で働くメリットも多くあります。しかし、なんとなくのイメージで「大企業>中小企業」としてしまうのは非常にもったいないこと。うわべだけのイメージに流されず、それぞれの魅力を理解しましょう。そして、大切なのは自分が仕事に求めることは何なのかということです。それを実現できるのはどちらなのかを見極めることです。「やりがい」という言葉が最初に思いつく方には、中小企業という魅力的な選択肢があることを、ぜひとも知っていただければと思います。